サイディング張り替えのススメ ~いつかは迎える外壁の寿命~
外壁材それぞれの耐用年数とは?
●窯業系サイディング
セメントを主原料とし他に繊維質などで構成されています。価格帯の幅広さとデザインやカラーバリエーションが豊富なことから、日本の住宅では圧倒的なシェアを占めています。
耐用年数・・・10年ごとのメンテナンス(塗装)をしたうえでおよそ30年
●金属系サイディング
アルミと亜鉛から成る合金メッキのガルバリウム鋼板が最も一般的な金属系サイディングです。断熱性と耐震性の高さが特徴で、加工技術の進歩も著しくデザインも多様になってきているため近年では住宅の外壁材として採用されるケースが増えています。
耐用年数・・・10年ごとのメンテナンス(塗装)をしたうえでおよそ30年
●モルタル
セメントと砂と水を混ぜ合わせた素材を塗りつけることでつくられた外壁材です。塗ることで仕上がる外壁材なのでコーキング目地などがありません。30年前までに建てられた住宅では多く採用されていました。
耐用年数・・・10年ごとのメンテナンス(塗装)をしたうえでおよそ30年
30年前後で寿命を迎える外壁材
窯業系サイディング・金属系サイディング・モルタル外壁いずれも30年前後で耐用年数を迎えます。この耐用年数はメーカーが公表しているものですが、どの外壁材においても定期的なメンテナンスを施した上での年数ですので、メンテナンスを怠っていた場合の耐用年数はさらに短くなることもあります。
外壁材が耐用年数を超えたときはリフォームの検討時期
サンプル30年前後の長い間、雨風・紫外線など自然現象のリスクから家と住む人とを守ってきた外壁材は劣化・傷みによって寿命を迎えます。
建物自体も同じく年数を経過しているわけですが、「外壁」という一部分さえ直してしまえばまだまだ住み続けられることの方が多くあります。その時に検討すべきが外壁リフォームです。
外壁リフォームには2つの方法があります
外壁の張替え
既存の外壁材を取り外し、撤去したあとに新しい外壁材に張り替える方法です。
[メリット]
■外壁材が新しくなるため、新築同様の美観になる
■既存の外壁を取り外すので、壁の下地のメンテナンスも同時にできる
■新たなデザインや素材の外壁材を使用した場合、家のイメージが変わる
■軽量の外壁材も出てきているため使用することによって耐震性の向上になる
[デメリット]
■解体撤去+新規施工なので工事の規模が大きくなり費用がかかる
■工期が長いことが多い
■廃材が発生するため、処分費が加わる(アスベスト含有材は更に高額)
■建築年などによっては限られた種類の外壁材からのみ選ぶことになる
■モルタル外壁・コンクリート外壁は構造的に張替えられない
■外壁の重ね張り(カバー工法)
■既存の外壁材はそのままで、その上から重ねるように新規の外壁材を張っていく方法です。
外壁の重ね貼り(カバー工法)
既存の外壁材はそのままで、その上から重ねるように新規の外壁材を張っていく方法です。
[メリット]
■廃材が発生しないので処分費がかからない
■基本的にはどのような外壁材の上からも施工が可能
■工期が短いことが多い
■二重になった外壁で、断熱性・遮音性が高くなる
■廃材もなく、断熱性向上の観点から環境に配慮した工法と言える
[デメリット]
■既存の外壁の劣化状況次第では施工が不可能な場合がある
■外壁の重量が若干増える
■選択できる外壁材はほとんどの場合金属系サイディングに限られる
既存の外壁材によるところが多い
サンプル「外壁の張替え」・「外壁の重ね張り」どちらにしても、既存の外壁材の種類や状況によっては施工ができない場合もあります。
特にモルタル外壁の場合は塗りつけて壁を形成しているので、解体した場合はモルタル・ラス網(金網)・防水紙もろとも解体されるため、再度作り直していく必要があります。
張替え時の注意点!重さに気を付けましょう
これまでの外壁と同程度の重さが目安
サンプル窯業系サイディングはそのデザイン性の多様さから多く採用される外壁材ですが、金属系サイディングに比べると比較的重いものが多いようです。
窯業系サイディングの中でも最も分厚い16mmのものと、ガルバリウムとを比較してもその重さは3倍近くなることがあります。
耐震性の向上のために外壁の重量増加はなるべく避け、既存の外壁材と同じくらいの重量になるようなものを選ぶことが大切です。
重ね張りの場合は「金属系サイディング」がおすすめ
重ね張り工法の場合こそ重量増加は避けられませんので、現実的な選択肢としては軽量な「金属系サイディング」を選ばれるのが良いでしょう。
外壁の重ね張り工法!その手順は?
実際に外壁重ね張り(カバー工法)をする場合はどういた施工の流れで行われるのでしょうか。ここでは、モルタル外壁の上から金属サイディングを重ね張りする場合でみていきます。
①足場の仮設
しっかりと足場を組むことで、安全を確保すると同時にしっかりと確実な工事を行う環境作りを可能にします。施工自体の品質を高めるためにもしっかりとした足場は必要です。
②胴縁の取り付け
既存のモルタル外壁の上にサイディングを固定していくための胴縁(木材、ほとんどの場合防腐処理が施されたスギ材)を取り付けます
③補修・サッシ回りの水切り取り付け
既存のモルタル外壁のひび割れ(クラック)を補修します。雨水の侵入が万一発生した場合でも、内部への被害拡大を防ぐというための大切な工程です。
また、重ね張りした場合の新規外壁の厚み分、サッシ回りに水切りを取り付けます。
④外壁材の取り付け
最初に取り付けた胴縁に対して金属サインディングを固定していきます。狭い部分や複雑な部分は加工しながら取り付けていきます。
⑤点検・確認
全体の点検から細かい部分の点検までを行います。仕上がりの確認をお客様と一緒にすることで、納得のいく仕上がりを目指します。
⑥足場を解体し清掃
足場を解体・撤去した上で、周辺の清掃を行います。