夏は冬より外壁塗装しやすいって本当?夏は塗料が伸びる!に注意。おすすめの季節は?
塗装の時期って迷ってしまいますよね。冬より夏の方が塗装しやすい、冬は塗料が固まってしまうから塗装に向かないとか、逆に夏は塗料がよく伸びて施工しやすいとか、世界の中にはいろいろな裏話があるものです。でもそれって本当なの?というご質問にお答えいたします!
「冬より夏の方が塗装しやすい」と言われる理由とは
外壁塗装を考える場合、一般的には、冬より夏の方が塗装しやすいと言われることが多いそうです。
まことしやかに言われるこの理論、実は様々な理由があって成り立っていますので、簡単に列挙していきますね。
①冬は寒くていやだなという漠然とした気持ち
特に明確な理由があるわけではなく、何となく冬は動きたくない!という方は意外と多いです。
寒いよりは暖かい、涼しい時期の方が、物事を決断しやすいですからね。
親方もヒトなので、冬より夏が好きな親方もいるでしょう。
※あくまで気持ちの問題です。冬が好きな親方もいますし、もちろんどっちでも施工品質には影響しません!
また、現実的に冬はクリスマスやお正月、新生活の準備も相まって、何かと出費が多いのも理由の一つかもしれません。
②冬は寒くていやだなぁ、という漠然とした気持ち
屋根外壁の塗装工事は、当たり前ですが外回りの工事で、太陽が出ている間しか施工は出来ません。
真夏は19時でも明るいですが、真冬は16時ごろ暗くなり始めてしまうので、単純に施工時間が短くなってしまう、というわけです。
ただし、実際にはご近所様もいらっしゃいますので、外壁塗装工事を19時まで施工をすることはほぼありません。
塗料の乾燥などもあって、1日の作業量にも限界はありますから、たとえ作業時間が30分、1時間だけ延びても、そこまで劇的に工期が変わることはないでしょう。
むしろ猛暑の際は、無理な施工をせずにしっかり休憩をとってもらう必要があります。
③冬は雪が降ると工事ができない
雪が積もってしまうと塗装工事は出来ません。常に屋根も外壁も濡れているわけですから、全く施工は進まないでしょう。
特に日本海側の方は、施工時期には気を付けなければなりませんね。
ただし、私たちのいる埼玉や、関東での雪は非常に稀なので、それほど気にする必要もありません。
ちなみに埼玉の2018年の降雪日はなんと6日のみ!しかもこの降雪日は、積もったとかではなくわずかに雪を観測した日も含むので、実際にほとんど影響はありませんでした。
こうした「地域ごとの情報」には差がありますが、インターネットを通じると、場所も関係なく広まっていきます。
そして、いつの間にか冬は塗装をしてはいけない、というような広まった解釈になってしまっているのでしょう。
④夏は塗料が良く伸びるから施工しやすい
さて、最後は非常に興味深い内容です。
「夏は良く塗料が伸びる!」という言葉、聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
夏は塗料が柔らかくなって良く伸びて、塗料のノリも良いんだよねぇ!なんて親方に言われれば、なるほどそうなのか!と思うものですよね。
しかし、これには大きなウソが隠されているため、これも解説していきます。
「夏の方が塗料が伸びて施工しやすい」に隠された危険ポイント
夏は塗料が良く伸びる!と言われると、なるほどなぁと思うものです。
逆に冬は塗料が固くてノリが悪いんだよね、と。
これはある意味では、本当のことかもしれません。
塗装一筋で技術を極めた親方からすれば、気温による若干の塗料の変化を感じ取ることが出来るかも知れません。
しかし、塗料が伸びるから施工しやすい!は要注意!
もしかしたら塗装のルールを守らない施工になっているかも!
実際に気を付けるべきは塗料の伸びではなく、「基準塗布量」の問題なのです!
基準塗布量とは、工事に必要な塗料の量のことです。
例えば10㎏の塗料が必要な外壁で、良く伸びるからと5㎏の塗料で仕上げてしまえば、実際の塗料は半分しか使用されていないことになります。
塗料が半分になると、明らかに見た目に分かるのでは?とお思いになる方も多いでしょう。
しかし、実際には塗った後の外壁を見ても、どのくらいの塗料で塗ったかは分かりません。
外壁を一部くりぬいて専門機関に持っていったり、専門の調査員が使用する膜厚計などを使用すれば分かりますが、現実には不可能なお話です。
外壁塗装は「色を付けるため」に行うのではなく、「きちんとした塗膜を得て、外壁材の防水性能を確保するため」に行うものです。
色を付けるだけでは、DIYの工作と変わりません。
プロの塗装屋として恥じない施工をするためには、この基準塗布量は絶対に守らなければならないのです。
それでも、「夏は塗料が良く伸びる」という言葉が横行していることを考えると、実際にはどれだけの職人さんが、塗装工事をただの色付けだと思っているか……。
良く伸びるから薄塗りで仕上げました!では全く意味がありません。
夏も冬も関係なく、きちんとした塗膜を確保することが重要だということは、繰り返しお伝えしたいポイントです。
十分にお気を付けください。
「寒すぎる冬に塗装してはいけない」本当の理由
今度は冬のお話です。
もうお分かりとは思いますが、冬は塗料が伸びないから塗装に向かない、というのは、夏と同じで真っ赤なウソです。
ただし、寒すぎる冬には塗装をしてはいけないというのは事実です。
雪が降ったら塗装が出来ないのは先にも書きましたが、雪でなくても塗装をしない方が良いタイミングというのがあります。
それが「寒すぎる冬」。
具体的には5℃以下の気温のときです。
塗料のカタログには、5℃以下の気温では塗装を避けてください。と書いてあることが多いです。
それは、撹拌(かくはん)や硬化に影響が出てしまう可能性があるからです。
塗装会社によっては、5℃以下でも塗装は出来る!不具合も起きていない!という声も聞きますが、これも基準塗布量と同じで、守るべき基準の一つです。
守らなくてよいことは、わざわざメーカーカタログに明記はしませんからね。
例えばタクシーで考えると、40㎞制限の道路があったとして、毎日60㎞で走っているけど捕まったことがない!という人と、40㎞で走っていて、もちろん事故を起こしたこともありません、という人。
急いでいるときならまだしも、大切な人と乗るタクシーや、大切な式に向かう場合など、どちらを選ぶかは明白なはずです。
お家も同じで、基準を守っていないけど不具合は起きていません!と声高に叫んでいる業者さんは、何があっても基準は守りませんので、それ以外にも様々な基準や常識まで、守れない場合も多いのではないでしょうか。
関東では、真冬であっても作業開始の8時9時なら5℃以下になることは稀です。
そう考えるとあまり気にしなくても良い部分でもありますが、あまりに早く薄暗い6時7時に作業しようとしてしまうと、この基準を守れなくなるので注意が必要です。
なので「冬に作業をしてはいけない」というのは、ある意味では真実です。
ただし、埼玉や関東ではそれほど気にしなくても、自然と守れる基準でもあります。
きちんと知識を持っているかどうかを確認するのが重要ですね。
「冬よりも夏の方が塗装しやすい」の真実まとめ
冬より夏の方が塗装しやすい!について、本当かどうか書いてみました。
まとめとしては、
①冬は寒すぎて動きたくないという気持ち
②冬の作業時間は短くなってしまうのでは?というイメージ
③雪が降ると工事が止まってしまう(実際には関東では稀)
が大きな印象として、夏の方が良いというイメージがあるようです。
実際には夏でも冬でも同じ品質で施工が出来ますのでご安心ください。
ただ、「夏の方が塗料が良く伸びる」には要注意です!
しっかりとした業者さんでなければ、メーカーの定める基準塗布量を守らず、色だけ付ける薄塗りになってしまいます。
(しかも施工後には見抜けない!)
そして、「5℃以下の寒すぎる冬」も、撹拌や乾燥に影響があり、注意が必要です。
実際には関東では稀ですが、真冬の朝型に無理な施工をするのは気を付けましょう。
塗装に関しては有象無象の知識が転がっていて、どの知識も本当のように感じます。
しかし、実際には何となくの思い込みや、地域ごとの情報の差、親方や営業マンの一方的な意見で作られてしまっている場合があります。
そうした場合は、メーカーの基準や有資格の診断士を参考に、情報を見極めることが重要です。
今回のコラムは中立的に知識をお伝えしようと書いたつもりですので、ぜひご参考になさってください。
さらに様々な知識を知りたい方は、ぜひ他のコラムもお読みくださいね。
お読みいただきありがとうございました。